2009年頃の古文書です
ぼちぼち現状に即して書き直そうかと(2019/07)
Q:始めるのは絶対にアルトから?
A:なんでもいいと思いますよ。
吹きたい!と思ったものから始めればよいと思います。
何故一般的にアルトから、と言われるのでしょうか?
始めるにあたっての各楽器のデメリット/メリットについて考えてみましょう。
先ず、バリトン。
持ち運ぶのが大変です。
首からぶらさげてても重たい。
手が小さくてもかまわないが、腕が短いと右手が大変かも。
マッピが大きいので口が小さい人は大変かも。
息の消費量が他より若干多い。
アルトやテナーと較べて良質な楽器の選択肢が狭い。
高価。リードも。
でも、
かっこいいです。
次にソプラノ。
低い音域の楽器よりも、音程のズレが目立ちやすい。
音色もブレが目立ちやすいので安定させるのに苦労する。
↑いずれも繊細なコントロールが必要ってことです。
マッピが小さい、つまりリードの面積が小さいからピンポイントに唇にかかる圧力が大きい。
すなわち下唇が痛くなりやすい。
それはスィンリップの場合で、ファットリップの人は疲れやすい。
口が大きい人は、狭い範囲に筋肉と神経のコントロールを集中させるのに最初は手間取るかも。
ストラップはほぼ無意味(脱落防止でしかない)で、かなり右手に重たい。
案外と右手が遠い。
でも、
とにかく小さくて軽いです。
身体の小さい(=腕の短い)人でもカーブドソプラノなら大丈夫。
組み立てと分解が楽ちん。
リードが小さくて安い。
で、かっこいい。
じゃ、テナー。
思いの外に大きくて重い。特に運ぶとき。
それ以上のデメリットを思いつかないなぁ、、、。
本体もマッピもリードも豊富な種類の中から自分に合ったモノを選びやすい。
もちろん、かっこよいです。
そんなわけで、アルト。
最初は案外重いと感じますが、許してやろうと思える範囲。
テナー同様にデメリットを見つけにくい。
では何故、テナーよりもアルトと言われがちなのでしょうか。
それはひとえにクラシックの世界でのサックスの歴史によるのでしょう。
20世紀初頭にマルセルミュールさんが「サックスかくあるべし」というスタイルを確立しました。
それ以来、大同小異、誰もがソレに憧れ、目指してきたんです。
たった一つの目標地点。
歴史の深い他の楽器達には無い姿ですね。
まだまだ新しい楽器だからですね。
その後の優れた演奏家達によってフランス系、アメリカ系という微妙な違いはあるようですが、他の楽器でのフランス、ドイツ、アメリカの違いほどではありません。
道しるべとなるような演奏のほとんどがアルトで残されました。
それこそが「先ずはアルト」の根拠でしょう。
ところがジャズ、ポピュラーの世界では全く事情が異なります。
「世界中で自分にしかできない表現」を尊ぶ世界です。
そこでは他のどの管楽器よりもサックスの自由度が活躍できます。
当然のように沢山のスターが産まれました。
もちろん誰一人として同じ音の人は居ません。
テナーの演奏に憧れたならテナーから始めるべきです。
もちろんソプラノでもバリトンでもかまいません。
ただし体格的問題は考慮せねばならないこともあるでしょう。
手の小さな人にはソプラノを勧めます。
腕が短いなら(子供も)カーブドソプラノを勧めます。
そうでなくとも腕力に自信が無いなら、ストラップを使えるアルトも勧めます。
その場合、腕力だけの問題では無いでしょうから、首だけでなく肩や背中でも重さを支えられるような、よく出来たストラップも共に勧めます。
とはいえ、上達するエネルギーの源は「憧れ」です。
とにかく、最初に「気になった」楽器にトライしましょう。
そこで悩んでから他の可能性を考えるべきでしょう。
→サイトTopへ