2009年頃の古文書です
ぼちぼち現状に即して書き直そうかと(2019/07)
「吸気主動」って? 呼吸法指導の一般的過ち
(2009/07/07)
最近ようやく耳にするようになってきた言葉があります。
「吸気主動」
昔の日本の声楽の先生が編み出した言葉です。
歌唱時にあるべき呼吸のための身体の使い方のことです。
近年この言葉を掘り起こしてサックス演奏時の呼吸法の話として応用してくれたのが我が大師匠、雲井雅人先生です。
ブレスをめぐる随想
素晴らしい論文です。ぜひ御一読ください。
私があらためてここで同じことを説明するのは、はばかられますので。
なのですが、声楽の世界では(ある一派では)当たり前の話。
金管やフルートなどでも、ハイチェストという言葉に代表されるように常識です。
サックスの世界で今までほとんど語られなかったのが不思議です。
私のように声楽もシリアスに学んだ者にとっては、サックスの教本で
呼吸の話を見るたびにビックリの連続です。
「膝をピンと伸ばして立ち、お腹を膨らませたり凹ませたりすれば、
それが腹式呼吸で、それさえしてれば正しいのである。」
ウフフのフであ〜る。
日本古来の吟詠とか、様々な笛について語ったページを見てまわっても
充分に、それとは違うネタを伝えてくれてます。
武道系のページもなかなか参考になります。
けど、ことサックスについてはなかなか非常識なことになってます。
というか、ここで語りたいのはそんなことではなくて、
あらゆる呼吸に言及した論文で無視されていて残念な観点です。
それは
「個人差」
です。
サックスって楽器は「タメイキ」で充分に音の出る楽器です。
タメイキとは、身体が「吸える」可能性いっぱいに吸ったあと、
瞬時に脱力した際に身体から溢れ出す呼気のことです。
口がパカっと開いていれば、ほんの数秒で吐ききってしまうことでしょう。
ただし、口をすぼめて、その出口を指で軽く塞いだりすると、
その抵抗により、ゆっくりと放出されます。
サックスという楽器の「入れた息に対する反作用としての抵抗」は、
その指と同様の働きをします。
つまり、充分にゆっくりな放出となります。
とはいえ、他の木管楽器と比べるならば、かなり、かなり、かなり、少ない抵抗です。
長いメロディーをタップリと吹ききるには不充分な時間でしょう。
そこで登場するのが吸気主動という概念です。
それは、そういった時間稼ぎのみならず、マウスピースを支点として
向こう側にある楽器の中の空間と同様の空間をコッチ側にも確保することで
「その演奏者ならでは」の響きとか音色を造る要因ともなります。
なわけですが、実は忘れられがちながら大切に思えてならないのは
「タメイキの個人差」
なんです。
人の呼吸器官全体のイメージをゴム風船になぞらえてみます。
新品のゴム風船は、ブラブラとしてる状態だと、中に残っている空気は少ないです。
何度も膨らまされたやつは、ほっといても新品よりは多くの空気が残っています。
新品のをタップリ膨らませてから吹き口を指で閉じます。
パッと離すとブシュブルブルブシュと言って元通りになります。
中古だと、ブシュブシュと言ってそれなりに元通りになります。
人の身体に翻して考えるならば、(新品中古という言葉は当てはまらないが)
人によって「もっともリラックスした時に体内に残っている空気の量が違う」んです。
これを確か、予備呼気量と呼ぶんだと思います(要取材)。
それが少ない人は、吐ききるのは簡単だが可能性いっぱいに吸いきるのと、それをユックリと長い時間で吐き続けるのに努力が必要です。
反対に予備呼気量が多い人は、吸いきるのは簡単だが、ある程度吐いた後は、吐ききるのに努力が必要です。
つまり、深い呼吸をより効率よく身につけるには先ず、
己の予備呼気量を知ることが不可欠と思います。
その上で、楽器演奏に必要な呼気吸気という結果に至るために
各自に適したイメージの形成とトレーニングが必要なはずです。
その個人差を鑑みるならば、吸気主動という言葉も取り扱いに注意が必要でしょう。
予備呼気量の多寡に応じて、持つべきイメージとコントロールの仕方が変わってくるはずですから。
トレーニングを積んだ結果、予備呼気量はどういう傾向に至るものなのでしょうか。
たぶん、常人よりは多くなるのだと思う、ような、そうでないような。
というのも、ハイチェストを心がけているオペラ歌手や管楽器奏者の胸は
常時でも高く保たれています。
なのですが、本当にリラックスした状態、つまり寝ている時とかはどうなのかしらん?
やっぱり高く保たれてるのかなぁ?
私は怠け者なので、未だに自分の身体でそれを実感できずにおります。
身近にオペラな人が居る人、是非取材報告をお願いします。
私の「ボイトレon Sax」では「個人差」を突破できるような呼吸のエクササイズを
造れるとよいなぁ、と思っています。現状いつまでも書きかけですが。
ついでですが、このページを造るきっかけになった自分の日記をここに転載しておきます。
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失って初めて気付くこと多々ありな今日この頃。
やはり大切なのは、
・強靱なるブレスコントロールの維持
・毎日の練習による筋力とコントロールの維持
子供の頃、ラジオ体操なんて屁でもねぇやって思ってました。
それと同じで、楽器の練習も何日かサボっても大丈夫って思ってました。
が、この歳になると、維持するための努力は毎日せねばならぬようです。
盲腸を採るために腹を切りました。糸は無事に抜けました。
同時に色々と抜け落ちてしまったようです。
それは糸を抜いた一瞬に、ではなく、入院していた数日の間に
ポロポロと抜け落ちていたようです。
筋力低下は明らかで、さまざまな筋肉運動を関係づける
神経伝達も細くなってしまうようです。
右下腹部はまだ炎症を抱えています。
痛いだけでなく、コントロールが効かない。
開腹時に腹筋を傷つけたとは思えないが、
たぶん炎症のおかげで、自由に扱えなくなってる模様。
息を吸う時は当然、身体は膨らむように動きます。
さて、吐く時。
楽器演奏の場面では、
「身体を膨らませるように筋肉を使い続ける」んです。
何故なら、膨らんだ風船は「勝手に縮む」からです。
勝手に縮むに任せていると、息はほんの一瞬で向こうに行ってしまいます。
身体を膨らませ続けることで、その時間とか、出続ける息の状態をコントロールします。
と同時に、
マウスピースを支点として、向こうだけでなく、コッチ側にも
向こうと「響き合う」空間を確保するんです。
この身体の動きは学生時代に叩き込まれました。
こう見えて声楽科出身なもんで。
大野先生ごめんなさい。
本日おそるおそるマジで楽器を吹いてみました。
うひゃひゃ!
見事にその身体の動きができなくなってます。
やばいっす。
一生懸命に身体を縮ませて息を押し出してます。
その腹圧が胸を押し広げるばかりです。
胸も腹も、「先に」膨らもうとしてくれません。
たぶん、傷口が開きそうな感触にビビッてるんだと思います。
ふぅ、、。
さて、数日楽器に触れずに居ると、もう一つ恐ろしいこと。
唇を真ん中に集める筋肉がすっかり落ちてます。
御存知のように私は超ファットリップ、というか、
正確に言うと超「ルーズリップ」です。
(その写真説明がブラストライブ誌7/10発売号に載るはずです。)
力がヌケヌケなんです。
けど、
それって、「抜くべき力があるから、抜きうる」んです。
もとより筋肉が充分になければ力は「無い」のだから、
無いものは抜けない。
力があるから、力を抜けるんです。
その結果、力を使っているつもりではなくても、
必要充分の力は勝手に発揮されてるんです。
お相撲さんが重たい荷物をヒョイと持ち上げるようなものです。
更に言うとお相撲さんは「ユックリ、揺らさずに」も持ち上げられます。
それこそ怪力の証です。
力が無いのに超ルーズにするとですね、
マッピの周りから息やらツバやらが吹き出すわけです。
力がある時、ワザとそれをすることもありますが、
今は、コントロール不能にて勝手に吹き出すんです。
あぁ、情けない。
たっぷりの息の勢いに逆らうように、
唇を真ん中に集め、マッピに息を注ぎます。
それって、バリトンよりソプラノのほうが力を使います。
マッピの外周が小さいから唇を小さく集めねばならないし、
リードの面積も小さいから、唇に食い込まないように、
唇の形をしっかり保たないといけない。
入れた息に対する跳ね返りの力も小さいマッピのほうが大きいし。
息のスピードがより必要な高音域は尚更。
且つ、音程のコントロールのためにしなきゃいけない動きは小さい楽器のほうが微妙。
本日は持久力ゼロ。
すぐにブビバビと漏れちゃう。
ぷしゅ〜〜。
つまり、息(オナカ)と口元(アンブシュア)は
バランスで成り立っていて、
どちらかが弱まると、もう片っぽも勝手に弱まって
バランスを取ろうとします。
だからどっちかだけの維持で成り立つものではない。
極論を言ってしまうなら、身体全体でそういうバランスがあるんだから、
身体全体で、
つまり、常に健康であり続けるのが大事ってことでぇすぅ。
なわけで、今日は死ぬほど練習してます。
全くに初心者な練習をしてます。
チューナーを睨みながら音程コントロールの練習。
耳も覚まさなきゃいけないし。
口腔内容積コントロールも鈍くなってるし。
色んな音程(各音高の距離)での身体の動きを確かめながら、
音を曲げる(音高をアンブシュアで変化させる)練習を繰り返します。
ゆっくりと曲げるんです。
これってバリバリに筋肉を使います。
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例のごとくこのページも、いつまでも書きかけ。
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