2009年頃の古文書です
ぼちぼち現状に即して書き直そうかと(2019/07)
第2オクターブG&G#がゲロゲロ言う
(2009/08/25)
これってサックスって楽器の構造的欠陥なんです。
なのですが、そういう楽器なので、その欠陥を埋め合わせることも当然身につけるべき奏法の内だとも言えます。
オクターブレバー(左親指で操作するボタン)は一つですが、
それで操作されるキー(パッドの付いたカップとそこへ繋がる棒状部品)は2カ所に在ります。
オクターブキーとは、管内の空気振動に節を作り、強制的にオクターブ上の振動数にするシステムです。
ギターの弦の12フレット辺りを軽く触れると1オクターブ上の音が出るのと同じ理屈です。
5フレット辺りを触れると1オクターブと完全5度上が出ますよね。
もしかしたら、それを応用すればフラジオ音域を簡単に出せるかもしれませんね。
ってか、たしかセルマーの特注にそんなのがあった気がする。
滅多に見ないってことは、それほど効果的に機能はしないのかもしれない。(要取材)
ギターの開放弦の長さに当たるのが、マウスピース先端から、ふさがれているトーンホールの一番下端までの長さです。
つまり、サックスは1本の管体ですが、トーンホールをどこまで塞ぐかによって、弦の長さが変わるわけです。
するってぇと、塞ぐトーンホールの数だけギターで言うところの12フレットの位置も存在するんです。
つまり、オクターブキーもその数だけ存在するべきなんです。
ところが、それを実現すると穴だらけになってしまい、すぐにクニャっと曲がってしまいます。
そこで最低限の数で実現すべく最終的に選ばれたのが2つのオクターブキーなのです。
結果的には的確にオクターブ上の音を出させるには無理のある範囲が存在します。
それが第2オクターブのG&G#の辺りです。右手のD&D#の鳴りが悪いのも無関係では無いでしょう。
無理があるわけで、油断すると第1オクターブの音になりがちです。
本来出したい第2オクターブの音に第1オクターブの音が混ざって出るのが、ゲロゲロ現象です。
では、どうしたら解決できるでしょうか。
話を少し寄り道します。
サックスってぇのは非常に音程の悪い楽器です。
一つ一つの音高を作る必要があります。
しかし、キーという見かけのために「その運指をすれば、その音高が出る」と誤解されやすい。
その為に、音程について無頓着になりやすい。
だから余計にサックスは音程が酷くなりがちです。
そんな油断をさせてくれないトロンボーンやヴァイオリンと同様の気遣いがサックスにも必要なんです。
どこでどうコントロールするのでしょうか。
まず、自分の耳で聴き、正しい音高かを判断できるようにするんです。
出したい音高のイメージが自分に無ければ、そこに向かいようがありませんから。
「正しい音高」とは、ピアノやチューナーに合っている、という意味ではありません。
音楽はその時々に、微妙に様々なピッチを要求するものです。
「その場面で必要とされる音高を的確に出せること」
それこそが正しい音高あるいは音程での演奏と言えます。
正しい音高がドコであるかを判ったら、今度をソコに向けてコントロールするんです。
自分なりの正しい音高に向けて楽器の音高をアジャストします。
高ければ下げる、低ければ上げる。
その方法と練習法は別項で詳しく述べると思うのでここでは簡単に言っておきます。
実は、身体から息が出た瞬間に、その息は「ある音高と音色」を指向すべきなんです。
それができていれば、オクターブキーを押したまま第1オクターブの音を出せたり、その逆もまたしかりです。
そんなことが出来るようになれば、G&G#がゲロゲロ言わなくなるのは自明ですよね。
ただし、常に自分の求める音色=ソノリテを壊さずに行うべきです。
練習法を簡単に言えば、ある運指で出るはずの音高では無い音高を出す練習を執拗に繰り返すんです。
それをやってるうちに、「音高を指向する息の出し方」が身につきます。
オクターブキーなんて要らないじゃん、てことになれば無敵なわけです。
その具体的なシーケンスは、そのうちどこかで紹介するつもりです。
が、現状では、とりあえず、レッスンにおいでね〜、ってことにしときます。
ん〜。。。初心者には「とりあえず」シラブルの話で逃げ切ったりもします。
第1オクターブは大体「オ」、その上端は「ア」も試すべし。
第2オクターブの下半身はえ「エ」、その下端も「エ」だが、喉頭周辺を下げて舌の奥側の容積を広くします。
(↑上ずりやすい&鳴りにくい箇所のアジャストの為。必要によって下顎を下げることもありえます)
第2オクターブの上半身は「イ」、その下端がゲロゲロ言うときは「イとウの中間、ドイツ語のウムラウトのような」。
その上端あたりから第3オクターブ以上にかけては「イ」よりも更に舌を口蓋に近づける、つまり「sh」に近づいてゆく。
ただし、サックスに特有の音高が狂いやすいところは、それなりのケアが必要。
口腔内容積の広い_狭いに応じて、息圧のコントロールも必要。
あぁ、かなり詳しく書いてしまったが、それでも大まかです。
実際には音高一つずつ全てに違ったコントロールになるはずですから。
ただし、このシラブルは「大体において」ノビノビとゆったりした響きを音域を超えて実現するためのイメージで、音色の変化の必要のためには、このアイディアを超えたコントロールは当然のように行われます。
ついでに、
悪く言えばゲロゲロ、それって、佳く言えば「ファズ」です。
David Sanborn 以降のソレ系プレイヤーが珍重するアレです。
ゲロゲロの時の身体の状態(筋肉運動と感受される出来事との関係性)を観察し記憶し、様々な音高でそれを再現しようとすると、ファズの名手になれるはずです。
口腔内容積と形状のコントロールで実現するわけですが、その手のことをできるようになると、音高コントロールもきめ細かく実現できるようになります。
ついでにフラジオな音域の発音も容易になるはずです。
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